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ワールドディ・北海道フォーラム

 投稿者:前田敏章  投稿日:2014年11月17日(月)16時32分50秒
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  「交通死傷ゼロへの提言」をテーマとした「世界道路交通犠牲者の日・北海道フォーラム」は、11月16日、大きな成功を収めて終えることができました。以下概要報告です。

会場の札幌市中央区「かでる2・7」には、例年を大きく上回り100人を越える市民、関係者(主催の道交通事故被害者の会の会員は26人)が集いました。
(参加者が多くなったのは、この度、要請署名活動を行って危険運転罪への訴因変更を成した小樽事件のご遺族の発言が事前報道されたこと、また、基調講演が元道警本部長による小樽事件にも関連したテーマであったということもあるかと思います)


フォーラムは今年も「ゼロへの願い」「ゼロへの提言」「ゼロへの誓い」の3部構成で進行しました。
最初に、北海道で今年に入ってから犠牲になった151人をはじめ、これまでの日本と世界の犠牲者に黙祷を捧げたあと、今年も小栗幸夫教授を介して届けられたロードピース会長のショードリィさんからのメッセージが読み上げられ、世界の方々と連帯しての取り組みであることを確認しました。

主催者挨拶の後、「こんな悲しみ苦しみは私たちで終わりにしてください」という第1部、被害者からのメッセージ。

札幌市の小石川英樹さんは「遷延性意識障害の妻のこと」と題して、バイク乗車中に前方不注視のクルマによって衝突させられ、以来NASVAの療護センターで入院治療中の奥様のことについて「大変な毎日で悲しむこともできない」と介護の毎日を語りました。

次に、江別の高石洋子さんが「7・13小樽飲酒ひき逃げ被害者等連絡会」として署名活動の経緯を報告。続いて、一人娘の沙耶佳さんを奪われ、悲しみの中署名活動に取り組んだ岩見沢市の原野和則さんが、「加害者への厳正な裁き~危険運転致死傷罪適用~を求めて」と題して思いの一端を発言。詰めかけた報道関係者も含め、会場全体に涙と共感が広がりました。

第2部「ゼロへの提言」は、元道警本部長島田尚武氏が「ゼロへの課題と被害者の人権」と題して基調講演。小樽事件の経緯にみられる刑事司法の世界における被害者の人権保護を妨げる根底の問題-2極対立的人権論の弊害など-について、人権思想の進化の歴史から説き、わかりやすく講演されました。最後に述べられた「被害者の会の活動は、善良な市民の常識と健全な正義感を具現するもので、歴史を変えるものである」との指摘は大変ありがたく勇気を与えられる言葉でした。

討議の中では、札幌市の道路拡幅計画に対して歩道の広い道路づくりを求め署名活動を行っている「道路を考える会」、そして、北海道に飲酒運転撲滅条例を求める署名活動を行っている学生さんからの発言などがあり、フォーラムにふさわしい貴重なつながりが生まれる場となりました。
第3部の「ゼロへの誓い」は、今年もこのフォーラムを後援した道と道警からの挨拶を受け、最後に、主催者から、昨年採択された「交通死傷ゼロへの提言」の今年度版が示され、今後、第10次交通安全基本計画策定に向けての取り組みが確認されました。
なお、「提言」は、わが国の交通安全施策に、①目標ゼロを「究極」ではなく中期目標
とする ②クルマの抜本的速度抑制と規制 ③生活道路の歩行者優先と静穏化、という三つのパラダイム(社会の価値観、考え方)転換を求めていることが特徴です。


参加者アンケートでは、「大変良かった」という評価が最も多く(24/30)、今後につながる意義あるフォーラムになったことは間違いないと思います。

なおフォーラム模様は道内TV各局が報じてくれました。

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HTBニュース

世界道路交通犠牲者の日、北海道フォーラム開催

16日世界道路交通犠牲者の日です。札幌では交通事故の被害者らがフォーラムを開き、被害者支援の強化と交通事故の撲滅を訴えました。
 小樽の飲酒ひき逃げ事件で娘を亡くした原野和則さんは「生きていてほしかったそれだけが本当に唯一残念でうまく言えないけど今も苦しいです」と語りました。世界道路交通犠牲者の日は年に一度、被害者らが集まり、支援の重要性と事故の防止を呼びかけようと2005年に国連が定めたものです。札幌で開かれたフォーラムでは原野和則さんらが事故の撲滅を訴えました。また、元道警本部長の島田尚武さんも講演し、日本は被害者の人権保護が遅れていて法改正なども必要だと述べました。(2014/11/16(日) 18:06)

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交通死傷ゼロへの提言

2014年11月16日
世界道路交通犠牲者の日・北海道フォーラム

近代産業社会がモータリゼーションとともに進行する中で、人々の行動範囲は飛躍的に拡がり、欲しいものがより早く手に入る時代となりました。しかし、この利便性を享受する影で、「豊かさ」の代名詞であるクルマがもたらす死傷被害は深刻で、命の重さと真の豊かさとは何かという問いが突きつけられています。
わが国において2012年に生命・身体に被害を受けた犯罪被害者数は86万3773人ですが、このうち何と96%(82万9807人)は道路交通の死傷(死亡者数6,414人)です。この「日常化された大虐殺」ともいうべき深刻な事態に、被害者・遺族は「こんな悲しみ苦しみは私たちで終わりにして欲しい」と必死の訴えを続けています。人間が作り出した本来「道具」であるべきクルマが、結果として「凶器」のように使われている異常性は即刻改められなければなりません。このような背景から、国連は11月の第3日曜日を「World Day of Remembrance for Road Traffic Victims(世界道路交通犠牲者の日)」と定め警鐘を鳴らしています。
交通死傷ゼロへの提言をテーマに本年も集った私たちは、未だ続く「事故という名の殺傷」を根絶し、「日常化された大虐殺」という言葉を過去のものとするために、以下の諸点を中心に、わが国の交通安全施策の根本的転換を求めます。


第1 交通死傷被害ゼロを明記した目標計画とすること

憲法が第13条で定めているように、人命の尊重は第一義の課題です。現在の第9次交通安全基本計画の基本理念は「究極的には交通事故のない社会を目指す」とされていますが、「究極的には」でなく、中期目標としてゼロの実現を明記し、政策の基本に据えるべきです。
減らせば良いではなく、根絶するにはどうするかという観点から、刑法や道路交通法など法制度、道路のつくり、対歩行者を重視した車両の安全性確立、運転免許制度、交通教育など関係施策の抜本的改善を求めます。この度改正施行された自動車運転処罰法も、人の死傷という結果の重大性に見合う内容へと運用も含めさらに見直しが必要です。
私たちのこの主張は、単なる理想論ではありません。現に、スウェーデンでは、交通事故で死亡もしくは重症の外傷を負うことを根絶するという国家目標を「ヴィジョン・ゼロ」という名のもとに国会決議として採択しています(1997年)。そして、この目標を達成するための方法論と、その科学的根拠を示しています。
第2 クルマの抜本的速度抑制と規制を基本とすること
これまでの長い苦難の歴史から私たちが学んだ教訓は、利便性、効率性、そしてスピードという価値を優先して追求してきた「高速文明」への幻想が、人々の理性を麻痺させ、真の豊かさとは相容れない危険な社会を形成してきたということです。安全と速度の逆相関関係は明白です。持続可能な共生の交通社会を創るための施策の基本に速度の抜本的抑制を据えるべきです。
クルマが決して危険な速度で走行することがないように、今まで以上に踏み込んだ新たな規制が急務です。クルマ自体には、段階ごとに設定された規制速度を超えられない制御装置(段階別速度リミッター)や、航空機のフライトレコーダーに相当するドライブレコーダーの装着を義務化し、速度と安全操作の管理を徹底するべきです。さらに、ISA(Intelligent Speed Adaptation 高度速度制御システム)の実用化を急ぎ、二重三重の安全装置を施すべきです。
これまで検討されてきたITS(Intelligent Transport Adaptation 高度道路交通システム)は、情報による効率的制御であるもののハード面での高速走行を前提にするという矛盾を抱え、安全性向上にどれだけ寄与しうるかは不明です。同様に「自動運転」の技術開発が、今後も多数存在するであろう「非自動運転車」の危険速度走行を免罪することになってはなりません。今あるクルマの速度規制こそが急がれます。

第3 生活道路における歩行者優先と交通静穏化を徹底すること
道路上の子どもや高齢者の安全を守りきることは社会の責務です。人口当たりの歩行者の被害死が諸外国との比較において極めて高いのが現状であり、歩行者を守るためにまず取り組むべき課題は、生活道路における歩行者優先と交通静穏化(クルマの速度抑制)です。
道路や通りは住民らの交流機能を併せ持つ生活空間であり、決してクルマだけのものではありません。子どもや高齢者が歩き自転車が通行する中を、ハードなクルマが危険速度で疾駆する日常は、その根本から変えなくてはなりません。幹線道路以外のすべての生活道路は、通行の優先権を完全に歩行者に与え、クルマの速度は少なくても30キロ以下に一律規制(「ゾーン30」など)し、さらに必要に応じて道路のつくりに工夫を加えて、クルマの低速走行を実現しなくてはなりません。これが欧州の常識であり、ドイツやオランダの都市では、完全に実施されています。このような交通静穏化は歩行者優先の理念の「学び直し」の第一歩であり、ひいては幹線道路の交差点における死傷被害の抑止に結びつくはずです。横断歩道のあるすべての交差点を歩車分離信号にすることも重要課題です。
同時に、財源措置を伴う公共交通機関の整備を進め、自転車の更なる活用と安全な走行帯確保を緊急課題と位置づけるなら、道路の交流機能は回復し、コンパクトな街並みは活気を取り戻すでしょう。
私たちは、交通事故による死傷をゼロにしたいと願っています。しかし、それだけではなく、現行の交通システムをより安全なシステムに改善することは、交通事故の被害者だけにかかわらず、もっと普遍的な市民や住民の生活の質をも豊かにすること、それはすべての市民の基本的人権の保障につながるということを主張しているのです。
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